メディア・報道

ジャーナリストの仕事と責任

現在の日本ではTVや新聞で大事な情報が国民に届けられていない。

TVや新聞、インターネットなどのメディアは、国民の生活や生命の安全に関わるような国内外の事象や事件、法改正や経済の動きなどの中から、真に必要な情報を包み隠さず国民に伝える必要があるにも関わらず、現状ではそうした情報が伝えられず、どうでもよいようなニュースや本質をずらしたニュース、政府の発表を無批判に垂れ流すような報道が蔓延っているからだ。

国民の生活が大きく変えられてしまうような事柄、例えば水道法の改正による水道の運営権の民間委託や、種子法の廃止、卸売市場の解体や、混合診療の拡大、学校や病院、介護、労基署の民営化による問題点や、カジノ法が成立した背景やその問題点などは、繰り返しあらゆるメディアで報道され、国民の中でも十分に情報が共有され議論がなされるべき事例だと思う。

では何故こうした事例およびその「問題点」をTVや新聞であまり報じないのか。

一つにはよく言われるように安倍政権になってからメディアに対するコントロールが巧みになったということが挙げられるだろう。

ここではその手法に踏み込むことはしないが、例えばそんなコントロール法の一つに、首相が御用メディアや御用ジャーナリストを上手く利用している点が挙げられよう。

そしてそんな御用メディアを利用する安倍首相の象徴的なふるまいが、頻繁に繰り返されるメディア幹部との会食だろう。

首相と会食することでメディア幹部と首相との間でどのような会話がなされているのか末端の庶民には知りようもないわけだが、察するに首相しか知りえないような最新の情報や、生のコメントが入手できるとなれば、確かにメディアの面々がその場に入り込みたくなくなる気持ちも分からないでもない。

しかしそんなマスコミの弱みに付け込んで餌をぶら下げながら、政府が垂れ流す情報や政府に都合の良い情報を報道しなければ排除する、そんなマスコミコントロールの手法が特に安倍政権になって強くなっているようだ。

もちろん、政官財界からマスメディアまで権力に群がるのは今に始まったことではない。だが、安倍首相は性格的に「敵」と「味方」を選別し、待遇に差を付ける。この政権の「お友達政治」の本質は、インナーに入れなければ排除され、政権の便宜も重要な情報も一切得られなくなることだ。

引用:https://www.news-postseven.com/archives/20180906_752998.html?PAGE=2

TVや新聞の現場の報道記者は自分の組織のトップが首相と懇意にしていることで、首相を批判するような記事を書いたり流したりすることができにくくなるような空気を感じているのかもしれないし、NHKを退職せざるを得なくなった元記者のように政権と近いメディアの中で実際に批判的記事を書こうものなら排除されたりもする。

他方で政権寄りの評論家として知られる″田崎スシロー″こと田崎史郎氏は、自らの政治記者としての″スシロー哲学″をこう語っている。

「社会部などの記者と違い、僕たちは政治家をずっと取材しないといけない。良好な関係を保ちたい気持ちが働く」「総理の本音を知ることは、安倍一強とされる政治を知る上で重要な要素だ。政権べったりと批判を受けても悪いと思わない

「かつての記者は派閥とほぼ一体化していた。一線を引く流れの中で、政治家の本音を知らずに書く記事が増えている。会見の場で簡単に口を割る人たちじゃない」

引用元:https://lite-ra.com/2018/02/post-3801.html

この発言について引用元のliteraの中でも「いやはや、取材対象とりわけ権力者といかに距離を置くかはジャーナリズムにとって重要課題のはずにもかかわらず、田崎氏はそんな問題意識すら持ち合わせていないらしい」と批判を受けているが、正にその通りで、″第4の権力″と言われ、他の三つの権力と距離を置いて国民の知る権利に奉仕し、世論をミスリードしないように心がけるべきマスコミに属するジャーナリストが、「政権べったりと批判を受けても悪いと思わない」というのはいったいどういう開き直りだろうか。

そもそもマスコミは民主主義が健全に機能するために欠くことのできない必要な装置だ。

権力側の行き過ぎを常にチェックし、不正を暴き、そこから得られた情報を精査して広く国民に知らしめることで民主主義の担い手である国民の情報精度も上がり、政治運営や社会の有様についての正しい判断ができるようになるものだ。

確かに「政治家の本音」を知りたいとも思うが、それ以上に今現在どんな政策が決定され、法律が審議され、今後それらが自分たちの暮らしにどんな影響を持ってくるのかは、それよりもはるかに国民の利益にとって重要なことだ。

それに当人が「本音」と思っていることが、政治家とべったりとなることで、「本音」ではなく「広く知られたいこと」をジャーナリストを利用して報道させようとし、ジャーナリストがそんな政治家の意図など関係なくそんな「本音」ばかり流せば、国民には間違った政治家の姿や政策が伝わり、正しい判断もできなくなる。

民主主義は情報次第で衆愚政治となり、独裁政権を生み出すことは歴史が証明している。

昨今ではネットウヨと同じような発言をする政権よいしょの芸人もよくテレビで見かける。

彼らも国民への影響を考えると当然批判を受けるべき存在だが、マスコミ人は権力の行使の仕方を見張り、その有様を正確に伝える責任があるわけで芸人とはその責任の重みが違う。

そんなことも忘れてひたすら安倍首相のいいところばかりを言うようなマスコミ人は一刻も早く表舞台から消えて、さっさと広告屋かブロガーにでも転職するべきだ。

 

 

 

 

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