Yahooニュースに産経新聞の次のような記事が紹介されていた。
愛媛「正論」懇話会の第56回講演会が21日、松山市の道後山の手ホテルで開かれ、米国弁護士でタレントのケント・ギルバート氏が「日本の自立と覚醒が世界を救う」と題して講演した。
ギルバート氏は、日本国憲法について「服に例えれば、機能的には使えるが誇りがなく、ほころびもある既製品だ」と評価。「GHQが占領政策として、明治憲法を英米型に変えるため作らせた」と指摘した。
憲法9条については「いざというとき国民を守ることができず、同じ憲法で保障した生存権を台無しにする憲法違反だ」と指摘。「日本は自立した国家として国益を守ると同時に世界平和に貢献すべきで、その第一歩が第9条の改正だ。日本人も目をさます時期がきた。9条を改正してようやく占領が終わる」と述べた。
引用元:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190221-00000576-san-soci
ちーがーうだろっ!と思わずいいたくなる(古っ)。
何で憲法9条改正したぐらいで国民の「生存権」が守れるのか。
何で「占領が終わる」のか。
9条に自衛隊を明記したぐらいで日本がアメリカの占領を終わらせられるのなら、すぐにでも9条を改正すべきだと思う。
しかし実際はそんなことは全くない。
旧安保条約の1条で米国は自由に日本国内に米軍を配備できる権利があることが書かれているし、湾岸戦争後のイラクでさえ禁止している戦時における自国から他国への米軍のダイレクトな出撃も、日米間の密約で国民の知らぬ間に認められている。
つまり日本は戦後ずっと米国の戦争にいつ巻き込まれてもおかしくない状態のままだ。
密約と言えば日本のトップ官僚と米軍人だけが出席する日米合同委員会で、国民のあずかり知らぬところで(政治家すら知らない)勝手に合意したことがそのままノーチェックで通ってしまう。
しかもそこでの合意事項は非公開なので、国民は何が決められたのか知る由もない。
さらに最高裁判所は「高度の政治性を有する」ものが違憲かどうかの法的判断は「裁判所の司法審査権の範囲外」(砂川裁判・最高裁判決)として、日米間の密約にお墨付きを与えている。
つまり国の司法のトップですら国民の生存権が脅かされようがどうなろうが、日本と米軍(米国政府ですらない!)との間の勝手な取り決めに「違憲」と言えないわけだ。
だから横田空域はじめ勝手に日本全国の上空を米軍機が自由に飛び回れるし、墜落しても日本の警察も自衛隊も近づけず、米軍兵士が日本で犯罪を犯しても日本側で公正に裁くことすらできないわけだ。
こんな状況で9条だけ改正したところで、国民の生存権は守れるようになるわけがないし、占領が終わるはずがない。
日本が真の意味で米国(米軍)の占領を脱するにはこういった異常な状況を覆していくしかないわけで、憲法9条改正でそれが可能になるなどと考えるのは余程お花畑で不勉強のネットウヨか、彼らをカモにしてネットウヨビジネスをやっている似非保守知識人ぐらいのもんだろう。
ネットウヨや似非保守知識人は少しでも日本を良くしたいと思う心があるのなら、矢部宏治氏の本でも読んで勉強したらどうだろうか。