ベーシックインカム 読書

『隷属なき道』を読了。コロナ禍の時代に日本もベーシックインカムをスタートすべきでは?

オランダの若手ジャーナリスト、ルトガー・ブレグマンが書いて世界的ベストセラーにもなっている『隷属なき道』を読了した。

ベーシックインカム(以下BI)が必要な理由と批判への反論が、BIの歴史や既存の研究成果を踏まえつつ実証的に論じられていて、なかなか興味深かった。

特に意外で面白かったのが、ニクソン政権下のアメリカでのBIの導入が試みられようとしていたこと。

ニクソンはウォーターゲート事件でマイナスのイメージも持たれている大統領だが、1968年にガルブレイスやサミュエルソンなど当時の著名な経済学者を含む1200名の経済学者が署名付きで議会に送った貧困撲滅を目的とするBIの提案(公開書簡)に答えて、ベーシックインカムを給付する法案を議会に提出している。

この法案は全ての貧困家庭に無条件に収入を保障するもので、例えば家族4人の貧困家庭に年1600ドル(現在の約1万ドルに相当)の収入を与えるというものだった。

ブレグマンによると同法案はその後下院を圧倒的多数の賛成で通過したものの、イギリスで18世紀末に実施された貧困層への支援を目的とするスピーナムランド制度に対する捏造された報告書の「伝説」("受給者が怠惰になった・・・"等)の影響などもあって、結局とん挫することになった。

もしアメリカでBIが実現していたらその後日本にも導入されて、デフレ知らずで自殺者も少ない豊かな国になっていたのかもしれない・・・。

それはさておき、このBIについては最近ではフィンランドが2017年~2018年にBIの社会実験を行い、今年最終報告書を出しているほか、コロナ禍が後押ししたこともあり、既に導入を始めたり、検討を開始した国も出始めた。

英首相 ベーシック・インカム検討の考え 感染拡大の景気対策でhttps://www.nhk.or.jp/politics/articles/statement/32068.html

スペイン、ベーシックインカムを承認 コロナによる貧困に対応
https://www.jiji.com/jc/article?k=20200601040136a&g=afp

さらにアメリカではTwitter社のCEOのジャック・ドーシーが米15都市の施行グループが推進するBIの実証実験に300マンドルの資金提供を行うことを発表ドイツでもアーティストたちがBI導入を求める運動を起こしている。

こういう世界的なBI待望論がある中、日本でも駒澤大学教授で経済学者の井上智洋氏など、複数の論者がBIを提案されていて、AIの発展による大失業時代の到来に備えて必要、あるいはデフレ対策のためにも有効だという議論を聞くことが多くなってきた。

このBIの導入の是非については色々あるが、今のコロナ禍を見るにつけ、正直個人的にはAIの発展を待つことなく導入が待ったなしではないかと思う。

今のところ日本政府は給付金10万円を一度配っただけ(まだもらっていない人も多数いるらしい)だが、この一回の支給だけでは光熱費と社会保険料の支払いだけで消えてしまう。

既に多くの企業や個人が困窮し、このままでは餓死者も出かねない状況なのにだ。

BIというとすぐに「みんな働かなくなる!」という反論が出てくるが、少なくともこのブレグマンの本を読む限りでは、そういう結果にはならないことが歴史的にも証明されているし、少額からでも始めればベーシックインカムへの理解も進み、そういう批判も少なくなるのではないいだろう。

それにそもそも働かないこと=悪という思想自体、近代になって植え付けられた宗教ではないのか。

ブレグマンのこの本を読んでも、現代人が求めているのは今やお金より時間(余暇)が大事という考え方だという事例が多く紹介されている。

また「ザイゲンワー?」という批判もありがちだが、新規国債の発行や通貨発行益(シニョリッジ)を財源に充てる、生活保護など一部社会保障の財源見直しで浮いたコストの充当、GBIFや日銀が保有する株の売却など、いくらでもあると思う。

ようはやる気次第だ。

日本も本来ならお肉券発行やアベノマスク、GoToキャンペーンなどの愚策をやるぐらいなら、そのコストをBIの原資に回して、まずは小額からでもBIをスタートすべきだった。

意外だったのが、新自由主義の権化であるこの人までBIに賛成している点。

いやインタビューにも話が出てくるが、新自由主義の祖であるミルトン・フリードマンも所得がマイナスの世帯には税金を戻すという「負の所得税」を提唱しているので以外ではないか。

まあケケ中氏の場合は、BIだけにして他に必要な社会保障の廃止や利権に結びつけようとすることもありうるというかそれが目的だろうから、十分警戒しないといけないわけで、そんなこととBI導入を結びつけるのには絶対反対だ。

そうではなく、障碍者や困窮者への社会保障など必要な社会保障は残しつつBIの導入をはかるべきなのだ。

ともかくBI導入への検討を日本も推し進めるべき時だ。

なぜなら今は一刻でも早く現金を国民に配ることが求められる状況になってきているからだ。

ということで、与野党に関わらず至急、BIの議論をやるべきだ。

 

 

 

 

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