れいわ新選組が次期衆院選に向けたマニフェストを公表した(youtube動画 ※一番下)。
最大の注目は「れいわニューディール」と称して、「メロリン給付金」(笑)20万円×3ヶ月など、コロナ禍での経済政策として200兆円規模の財政出動を謳っている点。
まだ作成中ということで途中経過の発表といったところかもしれないが、「れいわニューデイール」は大きく分けて「コロナ緊急対策」と「「3つの危機」を打開するための政策」から成っている。
中身をざっと書き出してみると、次のような内容である。
【コロナ緊急対策】
・「メロリン給付金」毎月20万円×3ヶ月・・・75兆円
・全事業者対象の粗利補償×3ヶ月・・・6兆円
・水道光熱費免除×3ヶ月・・・2.94兆円
・社会保険料免除×3ヶ月・・・15.6兆円
・通信費免除×3ヶ月・・・2.1兆円
・農林水産生産者への補償・・・1.6兆円
・文化芸術関連の補償×3ヶ月・・・2800億円
・中小個人事業の家賃補助など×1年・・・7兆円
・その他の補助×1年・・・2兆円
<医療体制の充実と危険手当>
・医療機関減収補填×3ヶ月・・・1.05兆円
・危険手当(ロックダウン期間中全エッセンシャルワーカーが対象)1日2.4万円・・・・19.2兆円
・医療界が従事者増強×1年間(100万円ボーナス、30万人増員費用)・・・6.47兆円
・PCR検査体制の拡充等×1年間(1日目標100万件)・・・5兆円
【「3つの危機」(1「生存の危機」、2「社会インフラの危機」、3「原発災害、気候変動の危機」)を打開するための政策】
<1「生存の危機」打開のための政策>
・消費税の廃止
・社会保険料負担の軽減
・安価で住める公的住宅拡充
・教育費の無償化・奨学金徳政令
・子どもの貧困をなくす
・全国一律!最低賃金1500円
・生活を保障する制度を(生活保護の扶養照会や水際作戦の禁止)
・農業・食の安保を徹底的に(徹底した国の買い上げ)
・介護・保育士の月給10万円アップ
・非正規公務員の正規化
・医療従事者の処遇を大幅に改善(看護師の年10万人増を目標)
・雇用の流動化・規制緩和をストップ(派遣法の適用業種の根本的な見直し、長時間労働をさらに規制)
<2「社会インフラの危機」打開のための政策>
※緊縮路線による災害対策、公務員、医療・介護・教育削減による社会崩壊の危機への対策
・コンクリートもヒトも!年間10兆円で災害対策などの公共事業
・防災庁の設置
・公務員を増やす・災害対策エキスパートの育成
・介護・保育、教育への圧倒的投資で、少子高齢化を打開
・JR再公営化
・乗り合あいタクシーへの支援
・郵政事業の再国有化
・上下水道の民営化禁止→「PFI制度」や「コンセッション方式」の推進中止
・デジタルインフラの拡充と民主的な運営の両立
・大学にカネを・教員の増員を
<3「原発災害、気候変動の危機」打開のための政策>
→脱原発!グリーンニューディール
・原発は即時禁止、政府が買い上げて着実に廃炉を進める
・原発立地地域での地域雇用推進
・福島第一原発事故の被害者に徹底的な賠償
・「2050年自然エネルギー100%」のカーボンニュートラル
・新たな技術開発には国の資金を大胆に投資
・炭素配当を導入→環境税などの収入を気候変動の影響を受ける低所得者へ配分
<その他>
・過度な為替相場の円高進展を監視
・国内産業基盤の徹底的な再強化
・法人税の国際的引き下げ競争や課税逃れの阻止
・行き過ぎた投資・自由貿易協定
・輸出増を目指す農業から自給率を上げる農業への転換
・真の独立国家のための安全保障
・現行憲法の遵守
・利害関係者のためのトンデモ法の見直し、改正
ふー、全部書き出そうと思ったが、やっぱり細かいところは無理なので、気になる人は動画を見てください。
政府が1年半やってこなかった補償付きロックダウン、PCR検査の拡充、医療従事者への補償、医療従事者の増員、事業者への補償、などコロナ対策に向けた対策は、どれも先進国なら当然やるべきことばかりで、ここら辺は野党の掲げる政策としては当然のものばかりだと思う。
驚いたのはJRの再公営化や郵政事業の再国営化を掲げているところ。
水道民営化の禁止もそうだが、新自由主義の民営化路線への対決姿勢、決別するための象徴的な政策となってて大胆で非常に良いと思う。
それからコロナ対策もそうだが、全体的に負担の軽減、給付、補償が数多く示されており、国民の為にしっかりと金を使っていこうという確固とした意志が感じられるのが良い。
日本衰退の大きな原因となっている緊縮・新自由主義路線によるデフレ状況は、ここでれいわ新選組が掲げている政策が実現することで大きく改善するはずで、間違いなく国民全体の生活レベルは底上げされるだろう。
内需拡大、個人消費の増大は日本経済というより今や日本の社会そのものを立て直すために必須であり、ここで示された政策はたとえ次期衆院選でれいわが躍進できなくても、他の野党が政権を取った場合は是非取り入れて欲しいものばかりだが、緊縮を止めて積極財政に転換しない限りその多くを実現するのは難しいかもしれない。
今後敢えてれいわ新選組に個人的にプラスαで望むことがあるとすれば、①科学技術への支援強化と研究者の育成強化、②民主主義が機能するための環境整備だ。
①について。内需の底上げ、拡大のための経済政策は十分示されていると思うが、経済を強くするためには生産者側の強化も必要で、そのために必要なのは長期的には科学技術の強化だと思う。かつての“技術立国”日本を復活させることが経済を積極的に引っ張っていくエンジンにもなるはずだ。今の愚策連発の政権与党の面々を見ても思うことだが、国民全体の科学リテラシーが弱いことも国力衰退の原因だろう。できれば理系文系の区分けの廃止など、科学教育改革にも切り込んでほしいところだ。
また②については、国会や司法、行政、マスメディアなどが今の日本では腐りきっているので、民主主義も機能不全になっている。そのため民主主義が衆愚政治になり全体主義に向かいつつあるのが今の日本だと思うので、そこを是正していくような政策も欲しい。
なお今回のマニフェストはまだ作成中のものということのようなので、是非衆院選までにさらに充実した凄い政策集を見たいところだ。
ところで、れいわは他の野党(特に立憲)との協力関係はどうなるのだろう?