新自由主義 読書

『日本が売られる』を読んで① 国民の生命や自由、幸福を脅かすような政策と法律のオンパレード

知らないうちに日本が売られている・・・

堤未果氏の『日本が売られる』を遅まきながら読了。

まあ出るわ出るわ、本当に知らない間に「売国」政策のオンパレードになっているものだ。

水道民営化、放射性廃棄物の再利用、種子法の廃止、遺伝子組み換え食品の大量輸入、ヨーロッパで禁止の農薬の大幅緩和、農協の弱体化による国産牛乳の消滅、漁業権の外資への売却、病院・学校・労基署などの民営化によるサービスや監視の質の低下、外国人労働者の大量流入による社会保障費の増大、中毒者対策もなく金貸しサービスまで付与するカジノ法案、介護施設の投資商品化による質の低下etc・・・、本当に日本国民の暮らしが悪い方向に劇的に変化すること間違いなしの政策・法案がこれでもかというぐらいに現在進行形で推し進められている。

にも関わらず新聞やTVなどのマスコミはこうした問題をほとんど報じてこなかったし法案が通ってしまったり、通る直前になって流すことが多い。

NHKも含め、この人たちは一体何のために存在し、誰のために仕事しているのだろうかと思う。

 

水道民営化などの命に関わる政策への懸念

この本で取り上げられている新自由主義的政策の問題は多岐に渡るが、とりわけ私が懸念するのは日本人の生命にかかわる政策である。

例えば水道民営化の問題。この場合の「民営化」というのは、正確には「コンセッション方式」という所有権は地方公共団体に残したまま、運営権を民間に委ねる方式。

しかしこの方式を導入した諸外国では、水道料金の高騰や水質の悪化などの問題が起き、ボリビアのコチャバンバでは料金値上げに対する反対する市民が暴徒化する「水戦争」が起こり、抗議デモで死傷者も出ている。

民営化後に水道料金が4~5倍に跳ね上がったとされるフィリピンのマニラでは、水道を使えない人に水を売ったり分けたりすることさえ禁じられ、公園などの今まで無料で水を飲むことができた公共水栓も使用できなくなったという。

二大水道メジャーと呼ばれるグローバル企業「スエズ社」「ヴェオリア社」の本拠地であるフランスのパリでは1985年から2009年の間に水道料金が174%も上昇し、経営の不透明化などもあって2010年には再公営化されている。

このような水道事業の民間委託から再公営化した事例はこれだけでなく、同じくフランスのニース、アメリカのアトランタ市、インディアナポリス市の事例など、2000年から2017年までの間で267事例もあるという。

しかしコンセッション方式による民間委託からもとの公営に戻すためには違約金の支払いや運営金の買取などで膨大なコストがかかり、結局民間委託で値上がりした水道料金が高いままという事例もある。

民間が駄目なら買い戻せばいいだろ、そんなことを言う輩もいるし、私自身もそう思っていたが、そんな簡単な話ではないのだ。

そもそも民間に事業委託すれば、海外グローバル企業が参入してくる可能性が高く、そうなると法外な役員報酬の支払いや株主配当といった公営では必要のないところにコストが掛かり出すため、水道料金は上がる可能性が高い。

イギリスではサッチャー政権化で電話やガス、水道など様々な公営事業が民営化されたが、水道事業に関しては会社の巨額な利益が株主配当と経営幹部への報酬に当てられるなどして、英国消費者は毎年23億ポンド(約3450億円)も余計に水道料金を払わされているとのこと。

言うまでもないことだが、水なしに人間は生きられない。企業や投資家の利益のために命の基盤である水が好き勝手に扱われ、金持ちしか水が好きなだけ飲めないような世の中というのはなんとデストピアであることか・・・。

 

やってることがほぼ憲法違反!?

これ以外にも『日本が売られる』の中では、ミツバチの大量絶滅の原因とされ、子供の神経系の発達にも悪影響を与えているとも言われているネオニコチノイド系農薬の使用が日本で大幅に緩和されていることや、福島第一原発事故の除染土を8000ベクレル/kgのものまで公共事業で再利用できるようにしたことなど、戦慄するような事例がいくつも書かれている。

ところで日本国憲法の13条には次のように書いてある。

第十三条すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。

そして日本国憲法の99条には次のように書いてある。

第九十九条天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う。

安全な水に国民がいつでも自由にアクセスできたり、子どもが危険な農薬や放射性廃棄物で触れないような環境で生活できるよう法律を整備し、それを保障するような政策を進めることこそがこの日本国憲法の13条の趣旨に沿った政治であるし、99条の言う国会議員の憲法尊重義務の精神にも適うことではないだろうか。

しかし以上見てきた水道民営化やネオニコチノイド系農薬や放射性廃棄物再利用の問題を見る限り、やっていることは憲法13条とは全くの真逆で、国民の生命や自由、幸福を脅かすような政策と法律のオンパレードである。

それ以外でも『日本が売られる』に書かれてある政策事例の多くが、大多数の国民の幸福に寄与するようなこととは到底考えられない。

それにしても3・11以後の日本は本当に強権的な支配のもと、これまで築いてきた豊かな資産が次から次へと投げ出されているような印象を受ける。まるで別の国に変容していっているかのようだ。

以前ナオミ・クラインの『ショックドクトリン』を読んで多少の不安を覚えたものだが、まさかこの日本ではそこまでいかないのではないかと思っていた。

しかし目の前で展開されている光景を見ていると、震災や原発事故のショックに付け込んだ新自由主義的売国政策そのものであり、まさにこの本が「ショックドクトリン」の事例として紹介していたグローバル企業と売国政府が結託して押し進める強引な手法そのもののように思えてくる。

そろそろまともな常識ある国民は今押しすすめられているこの現実に声を上げ、行動で反対の意思表示をすべきときに来ているのではないだろうか。

じゃないと今の大人世代は今の子供たち以降の世代に取り返しのつかない大きな負の遺産を残してしまうように思える。

参考:

堤未果『日本が売られる』(幻冬舎新書)

https://gendai.ismedia.jp/articles/-/56865?page=2

https://kokocara.pal-system.co.jp/2018/03/26/water-privatization/

 

 

 

 

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