自民党 新自由主義

岸田首相の掲げる「新自由主義からの転換」の矛盾

自民党総裁選は岸田氏が勝利し、衆参両院の総理大臣指名選挙で第100代内閣総理大臣に選出された。

4日の首相就任会見で岸田首相は、衆議院の解散10月14日、公示10月19日、投開票10月31日という日程を発表したが、これは野党の政策が国民に浸透する前にさっさと解散して、コロナの新規感染者が減少し、新内閣のご祝儀で支持率が高いうちに選挙を有利に進めてしまおうという魂胆だろうか。

しかしそれにしては、コロナ感染者減とご祝儀の恩恵は十分ではないのではなかろうか。

新首相への期待と言うよりは、やはり安倍・麻生の傀儡というイメージが強く新鮮味がないのかもしれない。

加えて新内閣の人事が酷い。

こちらの記事を読むと岸田内閣の面子も典型的な金に汚い自民党議員ばかりということがよく分かるし、総裁選出後に岸田氏が「私たちは、生まれ変わった自民党をしっかりと国民の皆さんに示し、支持を訴えていかなければなりません」と宣言し、「自民党改革への思いは1ミリたりとも後退していない」と言ったのは何だったのかと思わざるを得ない。

「下着泥棒」って・・・それ普通の会社にもいられないレベルなんだけどね(笑)。

UR(都市再生機構)への口利きと建設会社からの賄賂疑惑のある甘利氏の幹事長起用もそうだし、森友事件の再調査もしないというし、言葉とは裏腹にどうも岸田氏には第二次安倍政権以降の腐敗した自民党を変えようという気はないようにしか見えない。

ところで総裁選時に語られた岸田氏の言葉として、「自民党改革」とは別にというかそれよりもはるかに注目したのが、「新自由主義からの転換」という言葉。

自民党の新総裁、しかも小泉政権以降の新自由主義路線を悪い意味で“完成”にまで近づけた安倍氏の息の掛かった岸田氏がそんなことを言うとはにわかには信じられないので、この言葉には意表を突かれた。

岸田氏の公式サイトには次のように記載されている。

私は、かねてより、「新しい日本型の資本主義」を創ると申し上げてきました。

経済には、成長と分配の両面が必要です。正に「成長なくして分配なし」です。しかし、同時に、分配なくして消費・需要の盛り上がりはありません。「分配なくして次の成長なし」も大いなる真実です。

規制緩和・構造改革などの新自由主義的政策は確かに我が国経済の体質強化と成長をもたらしました。他方で、富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の分断も生んできました。成長のみ、規制緩和・構造改革のみでは現実の幸せには繋がっていきません。

今こそ、成長と分配の好循環による新たな日本型資本主義の構築が必要です。そのため、「新しい日本型資本主義」構想会議(仮称)を設置し、ポストコロナ時代の経済社会ビジョンを策定し、「国民を幸福にする成長戦略」と「令和版所得倍増のための分配施策」を進めます。

引用:https://kishida.gr.jp/sousaisen/

いや、そもそも「規制緩和・構造改革などの新自由主義的政策は確かに我が国経済の体質強化と成長をもたら」すどころか、雇用の非正規化を促し、消費税増税と相俟って思いっきり需要サイドを弱らせて不景気デフレをもたらしてきたんだけど・・・、と突っ込みたくもなるが、それは置いておくとして、「分配なくして消費・需要の盛り上がりはありません」「富める者と富まざる者、持てる者と持たざる者の分断」に言及する人が新首相になったこと自体は、少なくともこれまでの安倍菅路線よりも余程ましではないだろうか。

それ故どれだけ本気なのか注目したいところではあるが、気になるのは岸田氏が財政再建論者だという点だ。

その一端は例えば初入閣した山際経済再生担当相の言葉にも表れている。

そして、財政健全化について「経済再生なくして財政健全化はないとの考えのもとで、新型コロナからの経済の正常化をはかりつつ財政健全化を目指すとの指示を総理からいただいた。この指示に基づいて、まずはちゅうちょ無く機動的なマクロ経済運営を行って経済を再生し、その後に財政健全化を実現していく。この順番を間違えないように進めていきたい」と述べ、まずは経済の再生を進めて、その後に財政健全化を目指すという考えを示しました。

引用 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20211005/k10013291631000.html

財政再建、つまり収支をプラスにして借金を無くすことは家計や企業のレベルでは望ましいことかもしれないが、国レベルで借金を減らす方向に動いてもいいのはインフレが過熱した時だけだ。

まさか給付金10万円をもう一回配って、ちょっと失業率とか企業の倒産とかが減りだしたら経済が「再生」したとか言ってまたすぐ財政健全化の為に増税したりしないよね?

しかし国が金を刷る以外では国債を発行(借金)しないと国民の資産は増えないし、市中にお金は回らないわけだから、そもそも財政再建など仕組み的に言って必要ないはずなのだ。

それに財政再建論を保持したままでは消費税減税や廃止、ベーシックインカム(継続的な給付)的な政策までは踏み込めないだろうから低所得者への「分配」は不十分なままにしかならないだろうし、新自由主義的な政策(=国有資産の売却・民営化)路線の転換も無理ではないだろうか。

岸田氏は宏池会の創設者である池田隼人の政策に倣って「令和版所得倍増計画」を掲げているが、上記のような政策なしに、ここ30年の増税と実質賃金の低下、さらにはコロナ不況に沈み続けている日本の経済を立て直せるものなのだろうか。

さらに言うと、岸田氏のいる自民党は経団連やグローバル資本の方ばかり向いて国民の方を向いていない。

そういう連中ばかりが政権を担ってきたからこそ、非正規雇用が増大し格差は拡大、子ども食堂のようなものが全国で増加し、コロナ禍で炊き出しに並ぶ人の列も増え、第二次安倍政権以降も国民の暮らしは疲弊し続けているわけだが、そんな中で岸田氏が首相になったからと言って、すぐに党内の方針ないし空気を「所得倍増」や「新自由主義からの転換」に向けることができるものなのだろうか。

そういえば自民党の副総裁に麻生太郎氏が就いたが、この人は2013年4月にアメリカのシンクタンクCSIS(戦略国際問題研究所)での講演で、「この水道は全て国営もしくは市営・町営でできていて、こういったものを全て民営化します」と発言するなど、水道民営化推進論者、つまりはごりごりの新自由主義者だ。

TBSの「報道特集」で流れていたが、岸田氏は昨年総裁選で敗れた後、宏池会前会長の古賀誠氏と確執がある麻生氏の支援を得ようとして古賀氏とは距離ができたらしい。

岸田氏の掲げる「新自由主義からの転換」は、そんな麻生氏と岸田氏の距離の近さと麻生氏が自民党の有力者であるという点だけとっても無理のような気がする。

結局のところ、岸田氏の言う「分配」や「令和版所得倍増」、「新自由主義からの転換」を実現するには、本人の考え方(財政再建論)にしろ、自民党所属の議員であること(増税・新自由主義)にしろ制約が強すぎるのではないだろうか。

やはり自民党が政権を握っている限り、岸田政権になったところで、この国は沈んだままの可能性が高いだろう。

そんなわけで結論的には岸田氏への(特に経済政策への)期待は、消費税率未満の5%ぐらいだろうか。

たとえ衆院選で自公政権が勝って、岸田政権が本格的に稼働することになっても、ほとんどこれまでの自民党政権と同じく国民の暮らしは良くならないままだろう。

やはり衆院選は野党(維新除く)に勝利してもらうしかしかない。

 

 

 

 

 

 

 

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